不安症と腎の意外な関係──水に浮いた小舟のような心

【不安症と腎の意外な関係──水に浮いた小舟のような心】


フーフーです。不安症についての相談がきました


不安症というと、心の問題だと思われがちですが、中国医学では「腎」と深く関係しています。ただし、よくある「腎が弱っているから補いましょう」というアプローチは、ちょっと違います。

腎には「納気(のうき)」といって、気をしっかり身体の中に落ち着かせ、安定させる役割があります。ところが、体の中に「水=津液(しんえき)」が多すぎて、腎に気が納まらなくなっていると、不安症のような状態が生まれやすいのです。まるで水に浮いた小舟のように、心も身体も不安定になる……そんなイメージです。

ここで勘違いしやすいのが、「腎が弱っているから補う漢方を出せば良い」と考えること。実際には、腎自体はしっかり働いていても、外から流れ込んできた“水”が邪魔をしているだけ、というケースが多いのです。

ではその“水”はいったいどこから来るのか。大きく分けて三つのパターンがあります。

① 胃経(いけい)からの水分の逆流
食べすぎ・飲みすぎによって胃に停滞した水が、体内を巡って腎の納気を妨げる場合です。お腹が張りやすい、ゲップが出る、食後に不安感が強まる方はこのタイプが多いです。
▶改善法:夕食の量を控える、食間をしっかり空けて胃の負担を減らすことがポイントです。
② 単純な水分過多
水分過多が原因であれば、まずは体内の余分な水分を取り除くことが大切です。単純に水を多く摂ることが解決策にはならず、利尿効果のある豆類のお茶やミネラル水に切り替えることで、水分調整を行うことが有効です。また、食べ物に関しても、湿気の多い食材や冷たいものを避け、温かく消化の良い食事を心がけると良いでしょう。
③ 冷えによる津液の停滞
冷房や冷たいものによって身体が冷えると、津液が滞りやすくなり、腎の納気を邪魔します。足先が冷たい、腰がだるいという症状とともに、不安感が出る人は要注意。
▶改善法:足湯や温灸で下半身を温め、冷たい飲食物を避けることが基本です。あとは環境も大切。

つまり、不安症の原因を「腎虚」と決めつけて補ってしまうと、逆にむくみが悪化して不調が長引くことがあります。大切なのは、体に余分な水が溜まっていないか、どこから来たのかを見極めて、それに応じた対処をすることです。
まずは、身体を観察すること。不安は気持ちだけの問題ではなく、身体の中で“気”と“水”がぶつかって起きているサインかもしれませんよ。

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