「甘味」について
フーフーです。甘いものって、やっぱり癒されます。でも、中国医学では「甘味」といっても、ただの味覚ではなく、体に対する働きがそれぞれ異なると聞きました。本当ですか?
その通りです。甘味(かんみ)は五味のひとつで、基本的には「補益(体を補う)」「緩和(こわばりをほぐす)」「調和(全体を整える)」という働きを持ちますが、その性質は素材によって微妙に異なります。とくに現代に多い精製糖と、自然糖の違いは体への作用に大きな差を生み出します。
以下に、代表的な甘味とその効能を整理してみましょう。
◆ 黒糖・きび糖
精製前の自然糖で、ミネラル分を豊富に含みます。気血の源となる脾胃を補い、さらに血中の老廃物(瘀血)を流すデトックス効果も兼ね備えます。冷えや疲労がある人におすすめです。
◆ グラニュー糖・精製砂糖
ミネラル分が除去され、純粋な糖質としての「粘性」を生み出します。これは、目的に応じた補気・補血をピンポイントで行う際に便利ですが、摂りすぎると体内に湿(ねばつき)を残す原因になります。
◆ 上白糖
グラニュー糖に転化糖を加えたもので、単なる脾胃だけでなく、他の臓腑──たとえば肺や肝、腎などを潤したり補ったりする複合的な補益効果を持ちます。薬膳調整では広く活用されています。
◆ 三温糖
加熱処理されたまろやかな甘味。とくに脾胃を温め、消化機能を助ける作用があり、虚弱体質や胃腸虚弱の人には向いています。
◆ てんさい糖
寒冷地で育つ甜菜(ビート)由来の糖で、デトックス効果に優れています。きび糖よりも血中の滞りや湿熱を解消する力があり、皮膚トラブルや便秘傾向のある人に適します。
◆ 羅漢果(らかんか)
お湯をかけると甘味が抽出されますが、煮炊きではむしろ“だし”のような旨味が前に出ます。血をさらさらにする作用があり、現代人の高粘稠(どろどろ)血に効果的です。
◆ 蜂蜜(はちみつ)
脾胃を補い、気血を生み出す作用があります。さらに大腸にまで入り、潤して通便作用をもたらします。ただし、焦げると性質が変化してしまうため、加熱しすぎには注意が必要です。
◆ メープルシロップ
こちらも気血の補益に優れていますが、焦がしても性質が安定しており、焼き菓子などに適しています。蜂蜜とは補益の方向性が似ていても、扱いに違いがあります。
◆ 和三盆(わさんぼん)
伝統的な製法で作られ、ミネラルが豊富に残っています。やさしい甘味で、補気・補血だけでなく、緩やかなデトックス効果も期待できます。
こうして見ると、甘味にもそれぞれに役割があり、体質や目的によって使い分けることで、食養生としての力を発揮します。
甘味は癒しの味であると同時に、正しく使えば薬にもなる。中医学の知恵で、毎日の甘味を味方にしましょう。
【おすすめ動画】
健康に関する疑問・お悩み一問一答!中医学で根本解決!フーフー君の養生訓第167話
【スポンサーサイト】
中医学を学んで、健康と美容を♪
中国医学を学ぶならこちらへ
令和7年度4月校募集開始→中国医学協会 中国医学講座
中医学検定のご案内
令和7年6月29日開催!→こちら
中医師今中の動画はこちら
コメント