痔(じ)について

フーフーです。今回は「痔(じ)」について教えてください。

意外かもしれませんが、中国医学では痔は“局所の病”ではなく、五臓すべての乱れから生じる結果と考えます。
■ 脾胃の湿熱
いちばん多いタイプです。
食べすぎ、飲みすぎ、甘いもの・油っこいものの摂りすぎなどで脾胃に**湿熱**がこもると、気血が下焦(体の下部)に集まり、滞って痔になります。
これは「食の停滞」が“気血の滞り”を招く典型です。
■ 肺の宣発粛降の失調
肺は全身の気を調整し、皮膚や毛穴の呼吸を司る臓です。
この働き(宣発粛降)が滞ると、体内に熱がこもり、その熱が経絡を通じて下降し、膀胱・直腸に及んで痔を引き起こします。
特に夏場の冷房や冷飲によって皮膚表面が冷え、発汗できずに熱がこもったときに発症しやすいタイプです。
■ 肝鬱気滞
精神的なストレスや怒りの抑圧が続くと、肝の疏泄が滞り、気血が巡らなくなります。
この気滞は下焦に集まり、経絡の出口である肛門周囲に滞ることで痔になります。
便秘を伴うことが多く、排便痛や出血を伴いやすいタイプです。
■ 心火上炎
心は火に属します。
過度の思慮や焦り、イライラ、睡眠不足などで心火が旺盛になると、気血が上に昇りすぎ、下が虚します。
下に降りるべき気血が不足すると、肛門部の気血の流れが滞って炎症を起こします。
顔が赤く、口が渇き、舌尖が赤くなるのが特徴です。
■ 腎虚による湿滞
腎は下焦を主り、気化作用で水分の代謝を調えます。
この腎が虚すと湿が下に滞り、浮腫・冷え・倦怠を伴う“冷性の痔”になります。
出血は少なく、慢性的に腫れや違和感が残るのが特徴です。
■ 養生のポイント
1. 暴飲暴食を避け、脾胃を守る。
特に夜の遅い食事やアルコールは下焦に湿熱を生みやすいです。
2. 長時間座らない。
下焦の気血が滞り、痔を悪化させます。軽いストレッチを習慣に。
3. ストレスをためない。
気滞を防ぐためには、深呼吸と軽い運動が有効です。
4. 腎を温める。
下半身を冷やさないようにし、夜の冷えを防ぐことが大切です。
■ まとめ
痔は「出口の病」ではなく、全身の気血津液の流れが乱れた結果。
食・情・労・冷のいずれかで五臓のバランスが崩れると、その最終的な表現が“痔”となって現れます。
つまり、痔を治すとは、単に炎症を抑えることではなく、体全体の気血を調えることなのです。
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