飛蚊症は、目だけの問題なのか

飛蚊症は、目だけの問題なのか

フーフーです。目の前に小さな黒い点や糸くずのようなものが浮かんで見える。目を動かすと、それも一緒についてくる。これが飛蚊症です。

飛蚊症というと、どうしても目だけの問題だと思ってしまいます。もちろん、まず大切なのは目そのものを調べることです。
飛蚊症には加齢などに伴うものもありますが、網膜裂孔、網膜剥離、硝子体出血、ぶどう膜炎など、早く治療した方がよい病気が隠れている場合があります。特に突然たくさんの黒い点が見えるようになった、光が走るように見える、視野の一部が欠ける、急に見えにくくなったという場合には、養生より先に眼科で診てもらうことが大切です。

そのうえで中国医学では、もう一つ先を考えます。
目の中で出血や炎症が起きているとしても、「なぜ、その人の身体ではそれが起きたのだろう」と考えるのです。
例えば、身体に熱が多すぎる場合があります。
熱には気血を強く動かす性質があります。
心火が強ければ、心が司る血脈の流れが過剰になります。
肝火が強ければ、肝の疏泄によって気血が上へ強く押し上げられます。目は肝との関係が深いため、その影響も受けやすくなります。
脾胃に湿熱がたまっている場合には、食べ過ぎや甘いもの、脂っこいものなどによって生まれた湿と熱が気血の流れを邪魔しながら上へ影響します。
肺に熱がこもっている場合もあります。肺の宣発がうまくできなければ、本来外へ逃がしたい熱を体内に残してしまいます。
また、腎陰虚から生じる内熱も考えます。

身体を冷まし、潤し、落ち着かせる側の力が不足すると、相対的に熱が強くなります。この熱が上へ昇れば、目にも影響する可能性があります。
つまり、同じように目に熱や出血の問題が現れていても、その熱がどこから生まれたのかは人によって違うのです。

反対に、熱が強すぎるのではなく、身体の力が弱いために出血することもあります。
代表的なのが脾虚です。脾には統血という働きがあります。血を必要な場所に保ち、むやみに脈外へ漏れないようにする働きです。脾が弱って統血できなくなれば、血を留める力そのものが弱くなります。
肺虚も考えられます。肺の宣発が弱くなれば気を体表まで十分に巡らせることができません。すると熱を外へ逃がせず、内側に停滞させることがあります。
心が弱って血脈を十分に管理できない状態も、血の流れを不安定にする一因として考えることができます。
さらに湿が多い身体では、津液が余分に停滞して気血の流れを邪魔します。
湿によって気の働きが弱くなれば、固摂する力も低下します。血を本来あるべき場所に留めにくくなるという見方もできます。

ここが中国医学の面白いところです。
飛蚊症という一つの症状を見ても、全員に同じ治療をするわけではありません。
・熱があふれているのか。
・熱を外へ出せないのか。
・血を留める力が弱いのか。
・湿が流れを邪魔しているのか。
・陰が不足して内熱が生まれているのか。

目に現れた「標」を確認しながら、身体全体のどこに「本」があるのかを探します。
ですから養生も、その人によって違います。
熱が強い人に、さらに身体を温める養生をすれば合わないことがあります。
反対に虚が中心の人に、熱を取ろうとして冷やし続ければ、気血をさらに弱らせる可能性があります。

大切なのは、「飛蚊症にはこれを食べればよい」と決めることではなく、自分の気血津液と五臓の状態を見ながら、なぜ目に症状が現れたのかを考えることです。
まとめは、飛蚊症は目に現れる症状ですが、中国医学では目だけを見て終わりません。心火、肝火、脾胃湿熱、腎陰虚、肺熱のように熱が原因になることもあれば、脾虚による不統血、肺虚、心虚、湿による固摂力の低下など、虚から血の問題が生じることもあります。まず眼科で目に危険な病気がないことを確認し、そのうえで「なぜ、この目に、この変化が起きたのか」を全身から考える。それが中国医学で飛蚊症を見る時の大切な視点なのです。

 

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