薬をずっと飲んでいる。それは「治った」と同じなの?

フーフーです。血圧の薬を何年も飲んでいて、血圧はずっと正常です。それなら高血圧は治ったということでしょうか。

ここは、少し考えてみたいところです。例えば、水道管から水が漏れているとします。そこを手でギュッと押さえたら、水は止まりました。
「よかった。水道管が直った!」
とは言いませんよね。
手を離したら、また水が漏れるからです。
薬にも、これと似た役割を担っている場合があります。
例えば高血圧の薬には、血管を広げたり、余分な水分や塩分の排出を促したり、心臓や血管に関係する仕組みに働きかけたりして、血圧を適切な範囲に保つものがあります。これは非常に大切な治療です。血圧を適切に管理することで、脳卒中や心臓、血管などへの負担を減らすことにつながります。
ですから、薬を飲むことが悪いという話ではありません。自己判断で薬を減らしたり、中止したりしてはいけません。
ただし、「数値が下がっていること」と「血圧が上がった身体の原因そのものがなくなったこと」は、同じではありません。
ここを中国医学では、とても大切に考えます。
中国医学では、「なぜ、この人の血圧は上がらなければならなかったのか」を考えます。例えば血が粘り、流れにくくなっているとします。身体は、それでも頭や手足、臓腑まで血を届けなければなりません。そこで心が血圧を上げ、血を押し出そうとしているのかもしれません。この場合、血圧の上昇は単なる故障ではなく、身体が全身へ血を届けようとして行っている調整とも考えられます。また、身体に余分な津液が停滞している人もいます。脾胃の働きが弱く、食べたものや水分をうまく運化できない。
汗をかけず、余分な津液を外へ出せない。
腎や膀胱からの排出もうまくいかない。
そうして身体の中に余分なものが増えれば、気血の流れにも負担がかかります。
反対に、血が不足している人もいます。
必要な血を臓腑や頭まで届けるために、身体がより強い力で循環させようとしている可能性も考えます。
さらに肝の疏泄が強くなり、気血を上へ押し上げている人。
身体に熱が多く、その熱によって気血の動きが過剰になっている人。
冷えによって末端の流れが悪くなり、中心部に気血が集まっている人。
同じ「血圧が高い」という数字でも、中国医学から見ると身体の状態は一人ひとり違います。
ここに「標」と「本」の考え方があります。
高い血圧という現象を安全に管理することは、とても大切です。しかし同時に、その血圧を上げなければ身体を維持できなかった理由、つまり「本」を探していくことも大切なのです。
食べ過ぎていないか。
甘いものや脂っこいものが多くないか。
身体を動かしているか。
汗をかけているか。
睡眠は十分か。
足は冷えていないか。
便や尿はきちんと出ているか。
気血津液は全身を巡っているか。
こうした身体全体の状態を一つずつ整えていきます。
薬で数値を管理しながら、生活や養生によって身体そのものも整えていく。
私は、この二つを対立させる必要はないと思っています。西洋医学には、危険な状態を管理し、病気による重大な合併症を防ぐ大切な役割があります。中国医学には、その人がなぜその状態になったのかを、気血津液や五臓、食事、睡眠、運動、生活環境まで含めて考える得意分野があります。
まとめは、薬を飲んで数値が安定していることと、病気の原因そのものがなくなったことは必ずしも同じではありません。水道管から漏れる水を押さえることも大切ですが、なぜ水が漏れたのかを調べ、水道管そのものを整える視点も必要です。薬を自己判断でやめるのではなく、必要な治療を続けながら、自分の身体がなぜその薬を必要としているのかを考える。それが養生の始まりなのです。
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